2022/05/21

INTERVIEW

モロカイ島在住アーティスト・山崎 美弥子さん独占インタビュー:1000年後の未来の風景

水平線が見渡せるモロカイ島にあるご自宅のリビングルームでくつろぐ山崎美弥子さん

現在Biople七里ヶ浜店では、アーティスト・山崎 美弥子さんとの初のPOP UP EVENTを開催中。
「1000年後の未来の風景」と題した作品に込められた想いとはーー。

ハワイ・モロカイ島から、美弥子さんへの独占インタビューが実現しました。

――美弥子さんが住んでいるモロカイ島はどんなところですか?
「地理的にいうと、ワイキキのあるオアフ島からセスナ機に乗って35分くらいで到着するところ。東西に細長い小さな島です。島の真ん中から、西にいくのも東に行くのも30マイルないくらいなので、二日もあれば島全体を見ることができます。
ハワイの島々の中で、現在もハワイアンの血筋を受け継いだ人たちが60%以上住んでいるんですよ。例えばオアフ島は、ハワイアンの方は10%以下だと思うので、圧倒的に多い島ですよね。観光化を望んでいない島で、ハワイ古代からの自然や、人々のあり方、文化を守っていきたい人たちが暮らしているところでもあります」


現在は立入禁止になっている、町からほど近い聖なる泉が湧き出しているココナツの林

――移住する前は東京暮らしだったんですよね?
「そうなんです。東京生まれ東京育ち!住宅が密集していて、モノが溢れたところで生まれ育ちました。幼い頃から自然に憧れていましたね。それでも20代の若い時は東京をすごく楽しみながら満喫していました。でもだんだん疑問がわいてきたんです。満喫していた20代から都市社会のシステムに対して不自然さは感じていて、それがどんどん大きくなっていった。自分が探し物をしているような感覚が出てきたんです。そうしたら、自分が美しいと感じる“色”に変化を感じるようになりました」

――色に変化を感じるというのは、心境に変化を感じたということでしょうか。
「うーん、そうなんですよね。それが何かは分からなかったのだけど、探し物をしている感覚で過ごしていたら、真夜中にパッと目が覚めて、『ハワイだ!』って思ったの。何の根拠もないし、ハワイに行ったこともなかった。キャンプもしたこともないし、根っからの東京っ子なのに。でも、突然ハワイの風景が見える、そういう体験をしたんです。
分からないけど、とりあえず行ってみようと思って。オアフ島から順番にマウイ島、ハワイ島って。モロカイ島にも行ってみた。かれこれ25年以上前くらいかな?
そうしたら、自分の魂が故郷に帰ってきたような、ほっとするような感覚を覚えたの。それから絵を描くために、度々モロカイ島に戻ってくるようになったんです」


美弥子さんが実際に絵画作品を制作しているスタジオ

――そこから「通う」ではなく、「住む」になったわけですね。
「最初は全然住もうなんて思ってなくて!日本で活動していると、自分の考えていること以外の情報がたくさん入ってくる。それを出せないと苦しくなっちゃうし、“苦しい”を表現できないと病気になっちゃう人だっているだろうし。私にとってはモロカイ島に来ることは、自分をリセットすることになっていて。住みたいとかじゃなく、スペシャルな場所として1年に1回くらい来たら自分を取り戻せるので、それだけで良かったんですよね。でも不思議なご縁というか、運命の流れというか…住むようになって18年ほど経ちました。今では全く違う暮らしをしていて、不思議ですね」

――美弥子さんの作品には、「1000年後の未来」というテーマが付けられていますが、そこにはどんな想いが込められているのでしょう。
「小学校5年生くらいかな、不思議な体験をしたことがあるんです。いわゆる神秘体験。それがとても大きく影響しているのですが……
言葉では説明できないので、『例えば』の話をさせてください。
例えば、私たちが生きている世界はモノクロで、今まで気づいてなかったけどそこには窓があったんです。その窓をパッと開いたら、向こう側にはカラーの世界が広がっていた。それが本当の世界だったことに気がつく……そんな体験。
自分の信じていたことが、真実はこうだったって気が付いたときの世界のギャップって大きい。私がそのとき神様に垣間見させてもらった世界は、理想の中の理想であって、どんな人も無条件に受容される世界だったんです。
この体験をしたときに、あまりの素晴らしさに感激し、子供ながらに2時間くらい号泣してしまいました。どうすればまたこの世界を見られるのかって探求するのが、私の人生になったというのかな」

――ものすごい体験ですね。
「そうなんです。だから、その垣間見た世界を描き続けようとしている感じです。
なぜそれが『1000年後の未来』なのかというと……
10年くらい前に日本に戻ってきたとき、お世話になっていた方の旦那様が霊視ができるというので見てもらったんです。
『あなたは目に見えない世界を描く力を授かっています。同時にこの人生において、自分の夢を全て叶えられる力を授かっている。だけど、自分の夢をただ叶える人生を歩まないでください。そうではなく、想像できる限りの愛と平和に満ちた、あたたかい理想の世界が1000年後にあるとして、その未来に今自分が立ち、そこから遡って1000年前に帰ってきた現代を生きてください』と言われたんです。1000年後の未来を描き、全ての人々に見せてあげるのが私の使命なのだと。
だから、小学生の時に体験したものって、1000年後の未来だったんだって繋がった気がしました。全ての人の心の中にある、すごく清らかな部分なのかもしれないものを、『1000年後の未来』と名付けて呼んでいる感じです」

――壮大な使命を授かったわけですね。美弥子さんの作品からはエネルギーを感じ、見ているとハピネスやカームな気持ちになります。
「嬉しいです。物理的に1000年後の未来の風景かもしれないけど、絵を見た時に感じるものは、心の中にあるもの。はるか彼方、遠くにあるものではなく、いつもそこにある窓で、開きさえすれば出会える風景でもあるのだと思います」

――作品には一つひとつタイトルが付けられていますよね。
「はい。でも本当のことを言うと、タイトルなんてないんです。描いているときも、一貫して1000年後の未来の風景を描いているだけ。それは言葉もない世界です。
誰かの元に届けられるときに、降りてきた言葉を入れています。『降りてきた』というと大げさだけど、今回も七里ヶ浜で展示してくださるということで、それを届けるときに思いついた、生まれた言葉をタイトルにさせていただきました」

――作品を見た方、購入された方へのプレゼントですね。
「そうですね。タイトルについて、ひとつおもしろい話をさせてください。
去年、青山のスパイラルガーデンで展覧会をさせてもらい、200点以上の作品を展示させていただいたんです。私の幼馴染の女性が見に行ってくれて。彼女は子供が生まれたときに、私に名前を考えてくれと相談してくれ、ハワイ語で“光り輝く”という意味を持つ“Linoちゃん”という名前を付けさせてもらったんです。
彼女が会期後半に足を運んでくれたとき、すでにほとんどの作品は売却済になっていたのですが、遠くから見たときに1枚だけ目に飛び込んできた作品があり、絵の近くに行ったら唯一それはまだ残っていたのだそう。その場で彼女は絵を購入してくれて、嬉しい気持ちで帰ったらしいんです。後日絵が届いたときに気がついたのは、その絵のタイトルが“LINO”だったということ!もちろん私が意図してできたことではなく、偶然だったのですが、そういうことってたまにあるんですよね」


今回の展示会のキービジュアル

――届くべき方に届いたということなのかもしれませんね。
今回、この展示会のキービジュアルにもなっている作品は、ビープルのために描き下ろして下さったんですよね。
「はい。ビープルさんの理念や今回のテーマを伺い、素晴らしいと感じました。本来人間がオーガニックのものを使うのは当たり前のことだけど、それが難しい時代、パイオニアとして届けている素敵なブランド。七里ヶ浜も大好きで想いもあったので、嬉しさが絵の中に染み込んでいるかもしれません(笑)」


ビープルの今年の夏のテーマは「tone of waves 1/f」。
波の音の中には、人間の耳には聞こえない超音波が含まれた「1/fのゆらぎ」があり、それを脳が感知することでα波により、私たちはリラックスできるのです。
この自然の法則のように、夏こそ、海の音に耳を傾け、穏やかな時間を過ごそういう想いを表現すべく、山崎美弥子さんとの取り組みが叶いました。

Biople 七里ヶ浜店では、5月29日(日)まで、作品を展示・販売しています。
七里ヶ浜店は、波の音がBGMのように聴こえ、海を見渡せる最高のロケーションにある店舗。今回のキーヴィジュアルに使用された作品が表現する美しい水平線とともに、七里ヶ浜の海の香りを感じながら、特別なひとときを過ごしてみては?

<店舗概要>
店舗名:Biople 七里ヶ浜店
所在地:神奈川県鎌倉市七里ガ浜1丁目1−1 Weekend House Alley 1F
電話番号:0467-81-4250
営業時間:10:00-19:00 ※状況により変更になる可能性があります。


山崎 美弥子
@miyakoyamazaki
1969年東京生まれ。多摩美術大学卒業後、東京を拠点にアーティストとして活動。
一転し、2004年より太平洋で船上生活を始める。のち、ハワイ・モロカイ島のサンダルウッドの丘に家を建てる。現在は東に数マイル移動し、「島の天国131番地」と呼ばれる高台の家で、心理学者の夫と二人の娘、馬や犬たちと暮らしている。