2020/10/20

REMEDY

自分自身で未病を改善しよう|渡辺医師に聞く、未病とは?

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ビープルが大切にしているのは、“心身ともに健康であり続ける”こと。このことに真剣に向き合おうとするなら、まずは“未病”を知ろう。

今年7月、「病院にも薬にも頼らないカラダをつくる『未病』図鑑」という本が出版されました。これは、漢方治療で名高い「修琴堂大塚医院」の院長を務める渡辺賢治医師の著書。この本は、ビープルの想いと重なる部分が多く、読者の方に強くオススメしたい一冊なんです。

今回は特別に渡辺院長に直接お話を伺う機会をいただきました。
渡辺院長は西洋医学の医師である一方、学生時代から漢方の勉強を始め、西洋医学と東洋医学を融合させた“総合医”として医療のあり方を追求している方です。

冒頭、渡辺院長はこんな話を始めました。
「今年に入り、新型コロナウイルスの治療もしてきました。しかし患者さんに“免疫力”がどの程度あるかによって、治療法は大きく変わってきますね。これは全てにおいて言えることです。日ごろから自分のカラダとしっかり向き合っているかどうかが大事で、病気になってから焦ってもしょうがないんです。」(渡辺院長)

自分は病気ではない=健康だ、そう思って生きている方がほとんどではないでしょうか。病院に行くほどの病気を持っていないから健康である、実はその考えはとても危険!病気になってからできることは限られているんです。だとしたら、その前の段階で病気にならない心身の状態を作ることが大切。

「この本は教員をしていた慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスの学生たちと作り上げたものなんです。20代の彼らが50代となる2050年は相当ひどい世の中になることは、容易に予測できます。それを見据えて今できることを考えよう、そんな想いで作り上げました。」(渡辺院長)

そんなことで、今回は“未病”について紐解いていきましょう。
皆さん、病院に行くほどではないけど、日々感じる不調ってありませんか?例えば、頭が思い、手足が冷える、むくみがひどい、口内が乾く、肩こりが慢性化している、目が疲れやすい、月経異常がある…
他にもまだまだありますが(本著4ページ、5ページの「未病チェックリスト」をチェックしてみて!)、これら全てに心当たりがない方は、渡辺院長も太鼓判の“健康”状態と言えるかもしれません。しかし心当たりがある方が多いのではないでしょうか。

未病とは、ひと言でいえば、未だに病気になっていない段階で、健康と病気の間、という意味。病気ではないが、必ずしも健康とはいえない状態であるということです。」(渡辺院長)

忙しい現代人は特にこの未病の状態に置かれています。原因は様ざまですが、例えばスマホやPCといった、仕事する際のマストアイテムこそ、大きな原因とも言われています。
では未病を知ることがなぜ大切なのでしょう。
これは本著にある漢方の考え方に通じるものがあります。

たとえば、頭痛を起こした場合、頭痛薬や鎮痛剤を飲めば一時的に痛みはひくでしょう。しかし、そのうちまた、頭痛を起こしてしまうという繰り返しになります。
「頭痛を引き起こすような心と体の状態」を探り、その状態を改善して「頭痛を引き起こさない心と体」にすることで、頭痛を治そうとします。頭痛そのものではなく、まさに“頭痛のタネ”を根本的に解消するというのが漢方なのです。
(本著38ページより)

いま感じている不調としっかり向き合い、丁寧にケアすることで、心身ともに健康でい続ける一歩になるはずです。しかしこれは、一時的な行動ではなく、生きている限りずっと、続けなければならないこと。自分自身を大事に、愛することでしか、自分の心身の健康は守ることができないのです。それが、人間のカラダなのではないでしょうか。

さて、改めて本記事のトップにある写真をご覧ください。
これは、渡辺院長からいただいた、本著でも紹介されている「未病を改善する10の行動指針」。まずはこの行動を心がけ、未病対策を行いましょう。そこに、明るい未来が必ず待っているはずです。


「病院にも薬にも頼らないカラダをつくる『未病』図鑑」渡辺賢治・著(2020年/ディスカヴァー・トゥエンティワン)


渡辺 賢治
慶應義塾大学医学部卒、医師・医学博士
修琴堂大塚医院院長。横浜薬科大学特別招聘教授、慶應義塾大学医学部漢方医学センター客員教授。日本内科学会総合内科専門医、日本東洋医学会専門医・WHO 医学科学諮問委員、WHO 伝統医学分類委員会共同議長、漢方産業化推進研究会代表理事、神奈川県顧問・奈良県顧問等を兼ねる。