2020/06/10

WELLNESS

伸びる・曲がる…健康的な「神経」へ導く6つのヨガポーズ

From Yogajournal Online(Photo by Yogajournal US)

ヨガは、痛みを緩和したり防止する治療手段にもなり得る。神経に働きかけ、痛みシグナルを抑制するためのゆったりとしたシークエンスを試してみよう。

痛みをコントロールするヨガ

ヨガの生徒やティーチャーたちは、痛みの科学分野において次々と明らかになる新情報を得ながら、現代の研究を練習に取り入れ、痛みの緩和や防止に役立てている。

暫定調査によると、痛みの緩和や神経系システムの健康維持には、神経系がゆるやかに動けることが不可欠だという。健康的な神経は、神経細胞内で滑ったり、伸びたり、曲がったりすることができる(センチも動ける神経もある)。神経はそのように動きながら異なる経路をとり、痛みを悪化させたり、別の感覚や新たな痛みを引き起こす神経への圧迫を最小限にとどめている。神経組織の周辺の緊張状態は、疾患につながりやすい。神経組織は常に血液を必要とし、十分な血流を保つためには細胞にかかる圧力の変化が重要となる。神経を取り巻く細胞の緊張がわずかに変化するだけで、神経の可動性が阻止されたり、血流と脳に送る神経シグナルを妨害する圧縮が起こり、結果として痛みが起こる。

神経力学に基づく神経の可動性と健康を保つシークエンス

神経の可動性と健康を保つために、神経力学(神経組織周辺の神経活動の研究)と神経路に基づいたアーサナ練習を試してみよう。神経の両端に交互に緊張を加えることにより、神経滑走と呼ばれる神経細胞と神経の動きを生み出すことができる。意図的に神経を動かすにつれ、神経は自由に移動できるようになり、その結果、脳への伝達がよりスムーズに行えるようになる。

たとえば、脚の背面を走る坐骨神経は、スプタパダングシュターサナ(横たわった足の親指をつかむポーズ)で膝を曲げて(あるいは脚を上げて)、足首を直角に曲げたときに、神経の足側の末端がぴんと張り、もう一方の膝側の末端はゆるむ。この動作により、坐骨神経とその神経枝は足のほうに引っ張られる。次に膝からつま先まで真っすぐに伸ばすと、今度は神経の末端の伸びる側とゆるむ側が逆転し、坐骨神経の神経枝は膝のほうに引っ張られる。これらの動作を一緒に行うと、坐骨神経は神経細胞を通じてよりスムーズな往復運動ができるようになる。

さらに炎症反応が下方制御され、絶えず働いている神経への血流も促され、脳と身体間の伝達がより円滑になる。免疫や神経システムを最大限機能させるには、最適な信号伝達が必須となる。これが神経滑走を練習のレパートリーに加えるべき理由のひとつだ。神経滑走で大事なのは、快適な範囲でゆっくりと動くことだ。

この練習は痛みの緩和のために神経を動かすのが目的であって、筋肉や筋膜のためではない。そのため、体に起こる感覚やストレッチの程度はほんのわずかでかまわない。このことから、動作によって得られる感覚やエンドルフィン(多幸感)よりも、実際に体で行う動作のほうが神経を動かすことがわかる。私がこのアプローチを好む理由は、痛みと安全に折り合えるというだけでなく、誰もが行いやすい非常にシンプルでゆったりとした動きだからだ。

神経の名称

坐骨神経
体でいちばん太くて長い神経。腰から足までつながっている。

脊髄
中枢神経系の円筒形の部分。脳幹から腰までつながっている。

大腿神経
腰の前面から大腿部にかけてつながっている。

大腿神経&坐骨神経
1つの動作で2つの神経系に働きかける。

正中神経
腕と手に走る神経。

実践してみよう
はじめに、練習でフォーカスしたい神経の確認と、痛みがなく、ストレッチによる感覚もほとんど感じずに動ける範囲を探ろう。各ポーズあるいはシークエンスは5 ~ 10回繰り返し、1日に1、2回行うとよい。痛みの予防として練習する場合は、1週間に2回、数ポーズを選んで普段の練習に取り入れるといいだろう。グループレッスンに参加するときは、ストレ ッチや湧き起こる感覚よりも細胞組織への影響に意識を向けること。さあ、神経エクササイズを楽しもう!

1.スプタパダングシュターサナ(横たわった足の親指をつかむポーズ)

坐骨神経は体の中でいちばん太くて長いだけでなく、最もよく痛みが出やすい神経だ。まずはこの神経のエクササイズから始め、何度でもこの練習に立ち戻ろう。

A.仰向けで横たわり、坐骨神経を足先のほうに動かすために右の膝を曲げ、足首を直角にする。

photos by  Jenny Jimenez/photojj.com   Cary Jobe   

B.次に、坐骨神経を背骨のほうに動かすために、右膝を伸ばし(完全に伸ばさなくてもいい)、つま先まで真っすぐにする。快適で痛みなくストレ ッチできる可動域を探ろう。5 ~ 10回繰り返したら、反対側でも繰り返す。


photos by  Jenny Jimenez/photojj.com   Cary Jobe   

2.マルジャリャーサナ&ビティラーサナ(猫と牛のポーズのバリエーション)

背中を屈曲させて脊柱と神経を圧迫する。このポーズは背骨と逆方向に頸椎(首)を動かすことにより、特に脊髄に大きな効果をもたらす。この方法は本来のポーズに慣れている人には違和感があるかもしれないが、中枢神経系に非常に効果がある。

A.猫のポーズに入り、上を見上げて首を伸ばす。


photos by  Jenny Jimenez/photojj.com   Cary Jobe   

B.あごを引きながら牛のポーズに移行し、首を屈曲させる。快適に動ける範囲を見つけよう。5 ~ 10回繰り返す。


photos by  Jenny Jimenez/photojj.com   Cary Jobe   

3.スフィンクスのポーズのバリエーション


A.スフィンクスのポーズから、片脚を床から浮かせ、同時に目線も上げていく。


photos by  Jenny Jimenez/photojj.com   Cary Jobe   

B.脚を下ろしながら、あごを引く。快適に動ける可動域を見つけ、大腿神経(腰部の第2から第4腰椎のあたりにあり、腰の前部の健康状態を左右する神経)を活性化させよう。5 ~ 10回繰り返したら、反対側でも繰り返す。


photos by  Jenny Jimenez/photojj.com   Cary Jobe   

4.アンジャネーヤーサナ(ローランジ)

後ろの脚の動作によって腰の前面の大腿神経に働きかけ、前の脚の動作によって脚の背面の坐骨神経に働きかける。

A.左膝を床に下ろしてローランジに入り、頭を引き上げて真っすぐ前方を見る。


photos by  Jenny Jimenez/photojj.com   Cary Jobe   

B.腰を後ろに引いて、右脚を真っすぐにする(完全に伸ばさなくてもよい)。背中を丸めて、あごを引く。 5 ~ 10回繰り返したら、反対側でも繰り返す。


photos by  Jenny Jimenez/photojj.com   Cary Jobe   

5.ウールドゥヴァプラサリタエーカパーダーサナ(立位の前後開脚のバリエーション)

この立位開脚は痛みのない人向けにアレンジされた、よりチャレンジングで機能的なアプローチだ。

A.右脚を軸にして立位開脚を行う。両膝を曲げて、左の膝を右のふくらはぎにつけたら、前方を見る。


photos by  Jenny Jimenez/photojj.com   Cary Jobe   

B.両脚を真っすぐにし、左脚を上方に伸ばしたら、右足の拇指球に体重をのせて、あごを引く。快適な可動域を探ろう。 5 ~ 10回繰り返したら、脚を替えて行う。


photos by  Jenny Jimenez/photojj.com   Cary Jobe   

6.ヴィーラバッドラーサナⅡ(戦士のポーズⅡのバリエーション)

正中神経は、手と腕に走っている最も痛みが生じやすい神経だ。手根管症候群は正中神経への圧迫により引き起こされるので、このポーズでの動作は、その症状やほかの手首痛の緩和に役立つだろう。

A. 右脚を前に出して戦士のポーズⅡに入 ったら、腕を左右に広げ、両手のひらをそのまま前(マットの側面)に向ける。次に、右手の指先から後ろに反らして手のひらをマットの前方に向け、左手のひらもマットの前方に向けて、頭を右に倒す。


photos by  Jenny Jimenez/photojj.com   Cary Jobe   

B. 次に、それぞれの手のひらの向きを変える。右手のひらを体側に向け、左手の指先から後方に反らせて、頭を左に倒す。痛みを感じずに快適に動ける範囲を見つけよう。5 ~ 10回繰り返したら、脚を入れ替えて行う。


指導/ティファニー・クルックシャンク
ヨガの伝統に解剖学と西洋医学を取り入れているティーチャー・コミュニテ ィYoga Madicineの創立者。

モデル/ジェナ・ニシムラ
コロラド州デンバー在住。Yoga Medicineのジェネラルマネージャーであり、ジェントル、陰、リストラティブヨガのティーチャー。


出典:伸びる・曲がる…健康的な「神経」へ導く6つのヨガポーズ
https://yogajournal.jp

by Tiffany Cruikshank
photos by Jenny Jimenez/photojj.com Cary Jobe
model by Jenna Nishimura
hair&make-up by Suzanne Blons
translation by Sachiko Matsunami
yoga Journal日本版Vol.68掲載

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